【HEART川柳の会会報 第二〇五号】
十一月例会抄 主宰 津田 暹
平成二十七年十一月十八日(水)
《息抜き》
@ 家族から解き放れ来た湖畔宿 と志子
@ 息抜きも仕事の内と喫茶店 肇
@ 一日の褒美に冷えたビール飲む 善弘
@ 息抜きをする暇もなしテロ事件 直路
@ 子供からLINEが遊び取り上げる 正武
@ 遊んでばかり偶には固い本も読む 善弘
A 二年生ランドセル投げまずおやつ 肇
A 息抜きの筈のゲームに息抜けず 彰
A 定年後ずっと息抜き続いてる 正武
B 息抜きを繰り返しつつ認知症 直路
B 息抜きにならぬタバコの害あまた と志子
C 大往生やっと息抜きできました 正武
C 溜息を一つ放ってする介護 と志子
F 息抜きの散歩も息が切れ始め 彰
《パンチ》
@ 米中はパンチの数で中リード 正武
@ 仲間割れしたパンチパーマが睨み合い 善弘
@ 男らよパンチを止めて肩を組め 直路
@ 平凡パンチちょっと照れるが懐かしい 善弘
@ 口角のパンチ日頃の舌仕込み 昭三
@ パンチ力要らぬパットで大オーバー 肇
@ なっちゃない親の教育パンチ要る 直路
@ パンチパーマ元祖は奈良の大ブッタ と志子
@ 中国のボディブローに米フック 正武
A 彼女からダブルパンチの愛の鞭 と志子
A あの頃は平凡パンチ今スマホ 正武
A いざという時に物言うパンチ力 彰
B パンチ要る倫理欠如のこの日本 直路
B 懐古する切符にパンチ入れた頃 おさむ
B パンチ力老化品良く押し黙り 昭三
E パンチの差見てから強い方につく 彰
《自由吟》
@ 孫相手妻はムスメの声をあげ 肇
@ 久々に戻った里はよその町 と志子
@ 何事も引いちゃいけない大相撲 直路
@ あちこちのビルが傾く悪い夢 善弘
A 神の名の殉教戦争やまぬテロ 昭三
A 突然の更地に過去が浮かばない と志子
A 岩盤に届かぬ杭で会社揺れ 正武
A いざというときの仮面を隠し持つ と志子
B 平和憲法だから平和だとは言えず 彰
B 短い杭に大きい悔いが纏いつく 善弘
B 中台の同床異夢の話し合い おさむ
B 習さんの握手右と左で使い分け 善弘
C 通院のあい間を探す予定表 彰
E ゴールキック南無五郎丸観世音 正武
主宰選
《息抜き》
○ 大往生やっと息抜きできました 正武
○ 息抜きの筈のゲームに息抜けず 彰
○ 定年後ずっと息抜き続いてる 正武
○ 子供からLINEが遊び取り上げる 正武
〇 息抜きにならぬタバコの害あまた と志子
◎ 溜息を一つ放ってする介護 と志子
◎ 息抜きの散歩も息が切れ始め 彰
《パンチ》
○ 米中はパンチの数で中リード 正武
○ 仲間割れしたパンチパーマが睨み合い 善弘
○ あの頃は平凡パンチ今スマホ 正武
〇 懐古する切符にパンチ入れた頃 おさむ
○ パンチパーマ元祖は奈良の大ブッタ と志子
○ パンチ力老化品良く押し黙り 昭三
◎ パンチの差見てから強い方につく 彰
《自由吟》
○ ゴールキック南無五郎丸観世音 正武
○ 何事も引いちゃいけない大相撲 直路
○ 棒読みに自作自演のエーを入れ 直路
○ 突然の更地に過去が浮かばない と志子
〇 中台の同床異夢の話し合い おさむ
○ いざというときの仮面を隠し持つ と志子
○ 習さんの握手右と左で使い分け 善弘
◎ 平和憲法だから平和だとは言えず 彰
◎ 通院のあい間を探す予定表 彰
《主宰吟》
息抜きをマイナンバーが遠ざける 『息抜き』
九条に付けてしまったパンチ力 『パンチ』
後期高齢今紅葉の時季である 『自由吟』
☆主宰から☆
前回見学された肇さんが初めて投句された。素人とおっしゃておられるが、句意、表現ともに川柳の味わいが感じられ、既メンバーに引けを取らない作品も見られる。次号の「HEARTの会」会報から句会の様子が紹介される。少しでも興味を持たれ、新メンバーがさらに増えることを願っている。
[得点] 彰 二十五点 正武 十九点 と志子 十六点
直路 十一点 善弘 十一点 おさむ 七点
昭三 六点 肇 五点
次回ご案内
日時 平成二十七年十二月十六日(水) 午後四時
場所 田町キャンパスイノベーションセンター 八階談話室
宿題 「幕」 「濃い」 「自由吟」 各三句
投句締切 平成二十七年十二月十三日(日)
今月のこの一句
平成二十七年十一月
息抜きの散歩も息が切れ始め 彰
ストレス解消や体力維持に役立つ手頃な運動でもある散歩、その散歩で息抜きならぬ息が切れ始めるという。高齢化による体力の衰えを詠んだ句は多いが、「息抜き」と「息切れ」という相反する「息」を重ねて詠んだところに軽いユーモアを意識させながら、川柳らしさを感じさせる。頭で作ったリフレインでなく実際の体感から得られた作品であるところが強い。